薬の重複処方

薬の重複処方

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病院へ入院する時や介護施設入所時などには、ポリファーマシー高齢者の処方薬すべてを確認できる良い機会であると言えるでしょう。現在の日本の医療制度は、複数の医療機関に同時に掛かることが許されているため、異なる複数の医療機関から同じような作用の薬が処方されることは多くみられるようです。重複薬として頻度の高い薬物としては、向精神薬や消化性潰瘍治療薬が代表的であり、医療機関を一つに絞ることが一つの解決策ですが、やむを得ず複数の医療機関に通院する必要がある場合には「診療情報提供書」を利用して重複処方が起きないよう調整することが重要でしょう。また、鎮痛目的の薬物や睡眠薬のように理由がわかりやすい薬物に関しては、患者自身や、その家族に対して重複処方によって薬物有害事象がおきることを説明し、積極的に薬手帳を活用するように教育する必要もあるのではないでしょうか。ある調査によると、薬手帳は70歳以上の約95%が受診時に持参し、医師が重複処方の予防に役立てているという報告があるようです。次の段階として、考えられるのは情報を共有するために電子媒体でデータベース化することが理想ですが、システムの導入や維持費が高額であるため、なかなか進まないのが現状のようです。肝細胞癌のため入院している73歳の男性は、放射線科での治療が行われた際、泌尿器科との重複処方が確認されたという例があるようです。重複処方が発生した理由は排尿時の痛みを患者が訴えていたためで、放射線科も泌尿器科も抗菌薬を処方したとのことでした。また、排尿時以外での疼痛の訴えはないにもかかわらず、鎮痛薬が処方されており、患者の腎機能低下および肝機能低下に疑問を持った病棟薬剤師が、服薬している薬の見直しを行ったところ、重複処方が発見されたようでした。その後、医師との相談により、減薬が行われたそうですが、残念ながら、このような例が実は少なくないというのが現状でしょう。結婚に際して医療から離れてしまったけれど復帰を考えているという人も、近年、医師求人も多いため、知識を集めておくことは重要と言えるかもしれません。

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