在宅で治療を行っている人は、本人や、その家族の意思によって複数の医療機関を受診することができるため、介護施設を含めた複数の施設や多くの科を受診することにより、薬が重複してしまったりすることが多く報告されているようです。こういった人たちに向けて、“かかりつけ薬剤師”制度というのが近年開始されたのはご存知でしょうか。この制度は、患者が任意に特定の薬剤師と契約をし、当該患者の薬物治療に対して責任をもつ担当者となる制度とされ、患者が医療機関に掛かった時の情報整理をするだけでなく、他の医療機関からの問い合わせに契約薬剤師が責任をもって情報を通告する窓口という機能もあるようです。
薬の飲み合わせが原因で、患者が何らかの症状を訴えているにも関わらず、さらにその症状を抑えるために薬剤が処方される点についても、在宅患者の場合は特に留意する必要があるでしょう。追加された処方の開始時期と症状の発現時期との関係性を一つ一つ確認することにより、このような状況を予防することができるでしょう。
さらに、患者自身の意思によって鎮痛薬や便秘薬,睡眠薬などを複数の医療機関から処方を受け、意図的に薬手帳からの記載を回避し、医師や薬剤師に伝えていないこともあるようです。医薬品の過剰服用は薬物有害事象につながることを多くの患者に対して広めていく必要があるでしょう。また、医師を目指して医療関係でアルバイトをしている若者からも、あらゆる機関を利用して情報発信してもらうというのも期待できるのではないでしょうか。
結婚に伴い、両親の面倒をみたり、自分たちの健康や老後、また、子供の健康などについても、日ごろから医療的な知識にもアンテナを張るというのは大切かもしれません。