本の出版でよく聞かれる「校正」は、自費出版に限らず今日でも大切な作業です。昔の活版印刷時代では、鉛製の活字を一つ一つ組み合わせて、版を組んでいったときに発生する、植字の組違いからくる「誤植」というものがつきものでした。電子データ化に伴い、「誤植」という言葉は、死語になったと言われていますが、その代わりに、入力変換ミスによる誤字・誤入力がどうしても発生してしまいます。そこで、正しくデータが流し込まれているかどうか確認する「データ再確認作業」は相変わらず必須作業となっています。したがって、以前の校正で使用されていた「校正記号」の考え方は、今も通じるものがあります。例えば、「校正」を始めるにあたって、全体を読み通していく時に、ちょっと気になる個所に出くわした時。そのまま読み進めるのではなく、後でもう一度振り返った時改めて判断できるよう、「要再考箇所」として、黒鉛筆(校正では、赤ボールペンより大事な文具です)でアンダーラインを引いておくこと。その箇所にナンバーリングでもして、メモ帳にナンバーごとに、その再考する事項を書きだしておけば、後で振り返った時何で再考としたのか思い出すきっかけとなるでしょう。また、助詞一文字に疑問が湧けば、〇囲いでもいいでしょう。このような作業を何度か繰り返します。繰り返すうちに、最初に再考箇所としてマーキングしておいたところが、ベストだったらアンダーラインを消せば済むことです。もう一つ、校正で大事なチェック項目として、「用語の統一」があります。本文中で、同じような意味合いなのに、用語が変わっていると気づくことがよくあります。こんな時は、その用語に二重線でも引いておき、最終的に最もふさわしい用語に統一します。そして、一番手の掛かるのが、数行にわたる文章見直し。この場合は、該当箇所を丸かっこ“( )”でくくっておいて、後でじっくり時間をかけて修正を加えます。以上のように、単に誤字・誤入力を赤ボールペンで訂正するということだけでなく、全体的に見直すというスタンスで校正をとらえていけば、きっと最終的に納得のいくものが、出来上がってくるのではないでしょうか。